FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年1月21日放送

伊賀市上野桑町。
細い路地を曲がると『北川牛乳店』の赤い屋根が見えてきます。
創業は今から115年以上も前。
初代が数頭の乳牛と店を買い取り、牛乳店を継いだのが始まりです。
今日は四代目の北川裕之さんがお客様。
昔ながらの製法を守り続けておいしい牛乳を作っています。

じいさんの頃はまだ牛を飼っていた

1907年、明治40年創業です。
僕がはじめたときで、ちょうど100年くらい。
僕は四代目なので、ひいおじいちゃんがはじめました。
墨がついた土器はもう機械化が進んでして、処理場になっていました。
じいちゃんのときはまだ家に牛がいて、世話を手伝っていました。
僕が継いだのが2000年です。
ちゃんとっていうか、なんとなくっていう感じでしたね。
遠くの会社でサラリーマンをしていたのですが、父が身体を悪くしたために、そのタイミングで帰ってきました。
それから牛乳屋をやっています。
就職するときも、親父は何も継げとは言わず、就職しておき、という感じでした。
しかし親父が倒れたとき、母から帰ってきてほしいと頼まれました。
僕としてはそこまで考えていませんでしたけどね。

 

械が古くて壊れると部品がないのが困る

まわりも牛乳屋さんがなくなるのがもったいないから、続けてくれという声も多くて続けさせてもらっています。
僕で終わるのがちょっと恥ずかしいかなというのもあるし、なんとか続けています。
機会が古いんですよ、とにかく。
部品の一つ一つが高く、しかも牛乳屋さんも少ないので、なかなか部品がなくて、修理が大変ですね。
でも、工業課程の学科を卒業しているので、ある程度はわかるのですが、壊れるところが多いので、直し直し使っていくのが大変です。
うちに絞られた状態の原乳がタンクローリーで届くので、簡単に言うと殺菌して瓶詰めしてお届けするのが僕の仕事です。
僕が小さな頃はおじいちゃんが自転車で配っていました。
それがこの辺で有名になり、名を大きくしてくれました。

 

温殺菌だからおいしい牛乳になる。今は低温殺菌の牛乳は少ない

ウチの牛乳は低温殺菌です。
低温殺菌が飲めるのは珍しいですし、全然味が違います。
そこがやっぱり喜ばれています。
需要が多いのは夏場です。
ただ、牛は寒い地方の生き物なので、冬のほうが牛乳は美味しいです。
毎日飲んでいただいているお客様がほとんどですね。
夏のほうが多いですかね。
ごくごく飲んじゃいますからね。
冬のほうが乳脂肪分が高いんですよ。
一年を通して同じ味ではなく、牛さんの体調も冬のほうが良いし、脂肪分の高い牛乳を出してくれますね。
最近やめてしまう牛乳屋さんもいて、そのお客さんを引き受けたりしているので、軒数的には減っているのですが、範囲が広がっていって…どうですかね、伊賀地域の半分くらいは行っていますかね。
広い範囲で、朝2時くらいから配っています。

 

くさんの牛乳を使うお菓子を考えたらジェラードを作ることだった

5年ほど前から、妻と2人でジェラードの販売も始めました。
牛乳を使ってお菓子を出せたら良いな、と思って。
手間暇かけて作られた牛乳がたっぷりと使われています。
空いた時間しか開けられないので、毎週日曜日だけのオープンですが、おかげさまで、みなさんに喜んでもらっています。
もともと、イベントで妻が、うちの牛乳を業者さんに持ち込んでジェラートを作ってもらって。
そのあと、自分たちで作り始めました。
口コミでだんだん人気が出てきてきた感じです。
僕は言われたことをやっているだけで、メニューは妻が考案した内容で作っています。
牛乳屋さんなので、おかげさまで牛乳はたくさんあります。
普通だとふんだんに使うことがコスト的に難しいと思いますが、幸いうちは材料には困らないので、その分、味の濃いお菓子ができるのが強みですね。
牛乳は材料の中でも一番高いので、ウチはいっぱいあるのが助かります。

低温殺菌の牛乳は本当に美味しいので、みなさんに飲んでいただきたいですね!